カリフォルニアの本と虫

ロサンゼルス生活の日記だったけど、今は大阪にいます。

乾いた街

 ロサンゼルス、虫が少ない。

 仕事でここに駐在することが決まったとき、せっかくだから何か書いてみようかと考えた。書くなら自分の好きなことを軸にするのがいいだろうし、わざわざカリフォルニアくんだりまで来て、本や虫のことなど、しかも日本語で書くやつはおるまいと思って、ブログのタイトルに「本と虫」とつけた。

 しかし、肝心の虫が少ない。乾燥地なので、うじゃうじゃいるとも予想していなかったが、それにしてもなかなか目につかない。友人は「いるとしたらゴキブリくらいじゃね」とか言ってたけど、たしかにゴキブリだけはわりと街中をうろついている。(ありがたいことにまだ室内では見ていない。)いくら虫が好きでもゴキブリだけでブログを続ける自信はない。

 虫が少ない理由として、まだ1ヶ月しか滞在していない身で考えてみると、まずは上に述べたように水と栄養に乏しい乾燥地なのでそもそも生物全体の量が少ないことが挙げられる。ただし乾燥だけが原因なら、乾燥に適応した在来の虫がそれなりにはいるはずだ。ファーブルが『昆虫記』を著した南仏プロヴァンス地方だってかなりの乾燥地だ。大きな要因は、緑地管理の考え方ではないかと思っている。

 ロサンゼルスの街路には南国趣味たっぷりのヤシの木がたくさん植えられており、空いたスペースはどこもキレイに刈り込まれた芝生で青々としている。高級住宅地の美しい庭では毎日スプリンクラーが回っている。そこらじゅうで働いている造園業者の作業員は、剪定・芝刈り・落ち葉掃きで忙しそうだ。こうして日々ものすごい資源を注ぎ込んで維持される緑の風景は、降り注ぐ太陽によくマッチしている。なんかよく知らないけど「ああカリフォルニアに来たなあ!!」という気分にさせられる。

 でも、こういう風に完璧にコントロールされた場所には、余計なものは住めないのである。写真のコオロギのように、コンクリートのすき間やゴミ捨て場で細々と生きるばかりである。

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 アパートのガレージを這っていたこのコオロギ、カマドウマみたいな肌色系で苦手な感じ。ちょっとネット検索してみたらacheta domesticus(ヨーロッパイエコオロギ)という種類に見える。釣り餌やペットの餌として持ち込まれたものだそうな。そうか、あなたも移民の街ロサンゼルスの立派な一員なのですね。