カリフォルニアの本と虫

ロサンゼルス生活の日記だったけど、今は大阪にいます。

デスバレー国立公園:①感謝祭は死の谷で

 こちらでは11月の第4木曜がサンクスギビング・ホリデー(感謝祭)。続く金土日と合わせて大型連休が設定されている。アメリカの人たちはそれぞれ家族と過ごしたり、中日に行われるブラックフライデーという巨大セールに熱くなる習わしだという。しかし、ひとりで慎ましく暮らしている私にはあまり関係がない。せっかく時間があるのだから、むしろ思い切り人のいないところで過ごしてみたい。

 音に聞くアメリカの国立公園でパッと行けるところはないだろうか。有名なヨセミテ国立公園は11月に入ると雪で閉ざされるゾーンがあるらしい。今回は見送り。さらに手元の地球の歩き方アメリカの国立公園」を眺めていると、デスバレーというところならロサンゼルスから車で行けるようだ。なんでも世界有数の高温・乾燥地帯で、長野県とほぼ同じ大きさの砂漠に独特の風景が広がっているとか。

 この旅行の検討を始めた時点で既にサンクスギビング一週間前。調べてみるとさすがに公園内の宿泊施設は満杯だったが、公園の入口の村でモーテルが予約できるみたいだ。なんだかよく分からないが、とりあえず行ってみよう。4連休をアパートにこもって過ごすよりは面白いことがあるだろう。

 こんな具合に、非常に行き当たりばったりな気持ちで行くことを決めたデスバレー国立公園。結論から言うと、ものすごく、良かった。空はどこまでも青く広い。地形は激しい隆起と侵食の痕跡をむき出しにしている。その天と地がせめぎ合うわずかな隙間に、予想外にいろいろな生き物がこびりつくように生きている。ミクロからマクロまで全てがつながっていることがひと目で見渡せる、スケールの大きな場所だった。

 多くを見て、多くを考え、とてもまとめきれる気がしないが、次から何回かに分けて見たものと思ったことを書いてみたい。そうこうしているうちにもどんどん新しいことが起きるので、満足に書き終わるかは分からないが。

 

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 ↑ Dante's Viewという展望ポイントから見下ろしたデスバレー。雄大すぎる光景に、縮尺が掴めなくてぼーっとしてしまう。中央手前の白い部分は古代の湖が干上がった跡で、現在は広大な塩田と化している。北米大陸最低地点(海抜マイナス85メートル)が含まれる。背景の山脈の最高地点、写真中央のTelescope Peakは標高3,366メートル。箱根峠が裸足で逃げ出す高低差である。絶対にここで駅伝をやってはいけない。

 

つづく