角煮
大都会ロサンゼルスの片隅で、ときどき角煮を作る。私の住むコリアタウンは豚バラのブロックが安く手に入るのだ。多文化コミュニティ様様だ。自然から人間が得ているあらゆる恩恵をひっくるめて「生態系サービス」と言ったりするが、この豚肉も「文化の多様性サービス」である。
レシピはウー・ウェンさんのもの*1を参考にしている。一口大に切ってから煮るのであまり時間がかからなくて助かる。香りづけの八角は「アニス」として米系スーパーで普通に売っている。和カラシもあちこちに売っているが、今は前任者の置いていったチューブをまだ使っている。賞味期限が2年前で風味もトンでいるが、山盛り絞れば多少は香る。
できたてのホロホロのも無論旨いが、夜中に口淋しくて、固くなったものを冷蔵庫から直接つまむのも良い。噛んでいると味が出てきてカワキ物の趣がある。
何より最近再認識しているのが、一緒に煮たネギやショウガのクタクタになったのが最高においしいということである。要するに佃煮なのだが、ラードがねっとりしみていてごはん力が非常に高い。軽く炒めて熱したのを冷たいうどんにぶっかけるなどするのも良い。佃煮業界は縮小傾向とも聞くが、脂ギトギト路線はあまり攻められてないのではなかろうか。「食べるラー油」のような新市場が眠っているかもしれない。