週末の宮部みゆき
宮部みゆき『模倣犯』を読んでいたら週末が終わった。 ハードカバー上下巻1400ページほどを一気読みしてお腹いっぱいである。半年ほどの連続殺人事件の経過を違う視点から何度もなぞる構造になっているのと、あらゆる脇役に物語が描き込まれているのでとにかく長くて、少しずつ読み進めると途中でこの長さに辟易してしまうかもしれない。しかし、どかんと時間を取って向き合うとき、その文章量は小説世界のリアリティを保証してくれる。あまりに引き込まれて、朝から晩までほとんど食事も取らずに没頭というのを2日も繰り返してしまった。
この著者の「ページをめくらせる力」はものすごい。何年も前に『火車』を読んだときもあまりに面白くて地下鉄駅のベンチでストーリーが佳境に入って立ち上がれなくなり、1時間くらいそのまま座って読み切った記憶がある。『模倣犯』も同じくらい面白かった。次から次へページをめくっても終わらず、かといって飽きさせることもなく、長時間物語に没入するという幸せな時間を味わうことができた。
最近ちまちまといろんなものをつまみ食いするみたいな読書が多かったのだけど、宮部みゆきの筆力に引っ張られて中距離全力ダッシュみたいな読み方をしたので、この勢いのままちょっとハードめの本に手を付けたい。読むのもスポーツと同じで準備運動がないと読めない本というのがある。そのかわり一度勢いがつくとそのままガツガツ読み進んでいける。積ん読がすごいことになっているので少しでも片付けたい。
それはそれとして、アメリカ駐在員っぽい記事もいいかげん何か書かないと、看板に偽りありの指摘は免れないな…。