カリフォルニアの本と虫

ロサンゼルス生活の日記だったけど、今は大阪にいます。

自動車都市での事故予防について

 夕方帰り支度をしていたら、けたたましいブレーキ音と衝突音がオフィスの中まで響いてきた。なんだなんだと野次馬根性で外へ出て様子を伺うと、フロントのひしゃげたオープンカーが交差点の真ん中で止まっていて、運転手らしき人がうろうろしている。深刻な怪我人はなさそうだ。安心してオフィスへ戻り、カバンを取って出てきたら、もう警察が来ていた。優秀。

 職場の近くのこの交差点では、ほんの数ヶ月前にも事故を目撃している。今日とまったく同じように、対向車線から曲がってくる車に直進車が突っ込んだ形だった。まあまあな事故多発地点と言えるのではないかと思う。

 ロサンゼルスは過剰なモータリゼーションの街である。交通事故はいつ自分に降り掛かってくるか分からないリアルな脅威だ。もうすぐここに来て2年になるが、その間だけで事故に巻き込まれた知人は5人ほど。東京では周りに車に乗る人がいなかったのでこれが多いか少ないか判断に迷うところだが、自分自身も高速の真ん中でエンジンが故障して怖い思いをしたことがある。(不幸中の幸い、交通量の少ない場所だったので路肩に寄せて事なきを得た)

 地球半周分ほど走って何度もあわやという場面をやり過ごしながら、ひとつ確信したことがある。それは「よく休むこと」が事故予防の鉄則だということである。事故は相手のあることなので完璧には防げないのだが、自分の側の不注意やミスというのは、前夜によく寝ておくことでかなり避けられる。また、長距離ドライブのときは頭の中にかすかにでも眠気がよぎったら、即時休憩することである。食事の後や、残業した後など、眠気を帯びたままハンドルを握るのは極めて危険だ。自分でも格段に注意力が落ちていることが感じられる。たとえ仕事でアポイントメントが待っているようなときでも、車を駐め、3分でも目をつぶることが望ましい。

 日本にいたときは脳がヘロヘロになるまで残業して、足をガクガクさせながら終電で帰るというようなこともしばしばだったが、ロサンゼルスで同じ勢いで仕事をするとまず「通勤」という行為が成立しない。3日ともたずに何かに突っ込むと思う。全力を尽くさずに八分の力で業務を終えることが、ワークライフバランス云々どころかライフ(すなわち生存)のために必須なのである。「ちょっと頑張れば間に合うはず」という考えは禁物だ。「ちょっと頑張らなければいけない」状況を作ってしまった時点で、もう奈落に足を踏み出していると思わなければならない。

 ロサンゼルスは、せかせかしたニューヨークなどと比べてのんびりしているとよく言われる。いろいろな理由があろうが、「急いだら死ぬ」というのがわりと大きいのではないかと思っている。

 

 

 記事を書きながら思い出したけど、ドライブレコーダーも早く設置しなければいけないのだった。たとえ完璧に気をつけて運転していても、他人にぶつかられてしまうことはある。そういうとき、英語の苦手なガイジンにとって動かぬ映像証拠というのは貴重な武器である。数千円で買えるっぽいのでさっさと注文しよう。