カリフォルニアの本と虫

ロサンゼルス駐在の日記です。2017年10月から

にわかが「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見た感想

 ネットフリックスでTVアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見た。京都アニメーション制作。近世ヨーロッパ風の世界で、人間兵器として育てられた少女が、戦争終結後、代書屋に就職し、顧客や同僚との関係を通じて人間性を回復、成長していく物語だ。

 私は年に何本かしかアニメを見ないし、京都アニメーションのことも事件があるまでよく知らなかったんだけど、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見て衝撃を受けた。絵、ストーリー、演技、音楽が高い水準で調和していて、今更怒られるけどアニメってこんなにすごいことができるんだとあらためて思い知った。

 感情表現を持たずに周囲に溶け込めなかった主人公が、中盤、仲間に認められ始めたところでまず泣いた。いよいよ話が盛り上がる9話以降はハンカチが手放せなくなった。「手紙に想いを乗せる」ということが重要なモチーフになっていて、昨日書いたように私の最近の生活ともオーバーラップする側面があり、強く感情移入してしまった。三十男がひとりテレビの前でメソメソしてる画は気味のいいものではなかったが、それくらい良かった。ただ悲しくて泣けるとかいうことではなく、苦境の中でもがき、抵抗する登場人物たちの姿勢に打たれた。もう一回見たいと思うアニメは久しぶりだ。

 この作品には、ジョジョシリーズの「人間讃歌」というテーマや、ナウシカの「いのちは闇の中のまたたく光」というセリフにも通じるものがあると思う。少し前に見た同じく京アニ制作の映画「聲の形」もだけど、作り手の人達が人間や世界の美しさというものにきわめて強い肯定をもって臨んでいることが伝わってきた。

 報道によると「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のスタッフにも多数の死傷者が出ている。人の死に大小はないが、素晴らしい作品をひとつひとつ見ながら喪失の大きさを、遅れて確認している。歴史に残る仕事であるし、残さなければならないと思う。

 来週から日本では映画「外伝」が公開されるそうだ。作品がほぼできあがった矢先の事件だったということで、関係者の気持ちは想像の及ばないものがあるだろう。予告編のYoutubeコメント欄が外国語だらけなことから分かるように、海外でもこの作品と会社は広く愛されている。アニメに詳しくはないけど、アメリカでの事件の反響は少々分かる。アニメファンはもちろんのこと、そうでなくても事件のことは多くの人が心配している。

 新作映画、ロサンゼルスで見られる機会が来たらぜひ見に行きたい。

 


『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』予告