【読んだ】中島敦「山月記」
日曜。
昼頃起き出して、洗濯して飯を食ってアニメ見て…と前日とほぼ同じ展開。昨日は冷凍ピザだったので、今日は健康的に白菜と鶏を煮る。最近仕入れた柚子胡椒がたいへん合う。軽く掃除などしていると小腹がすいた。さっきの鍋にうどんを入れたらこれまたうまい。
満腹で眠くなったがここで寝たら豚なので、ちょっと読書。中島敦「山月記」を読む。教科書で読んだのは高校でだったか、それ以来の再読だ。初めてのときはその格調高い漢文訓読体が印象に残っているが、いま文庫本で手にとって見ると、意外に読みやすい文章だったということが分かる。こんなに短い話だったっけ、という感じ。
「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」というフレーズに、高校生当時うおーそれそれ俺それ!と興奮したのを覚えている。これは全然過去形ではなくて、三十過ぎた今でも悩まされ続けている課題である。昔よりはちょっとはマシになっただろうか。とはいえ三十過ぎて悩まされているのも当然だ。この話は著者が三十三歳で死ぬ直前に発表したもので、そもそもちょうど私くらいの年齢の心情を反映したものなのだ。私が虎にならずに済んでいるのは先に「山月記」が警告を発してくれていたからに過ぎない。
すごい作品だなーと噛み締めながらなんとなくTwitterを開いたら、有名ミュージシャンが「漢文の訓読意味なくね?」というツイートで炎上していてずっこけた。漢文の訓読がなかったら日本の古典文学は成立しなかったし、それを中島敦が再洗練することもなかったし、それにインスパイアされたハンバートハンバートの名曲「虎」も生まれなかったし、それを聞いて私が雷に打たれることもなかった。アジア全域で共有された知的財産の数千年分にアクセスするスキルを学校で教えてもらえるなんて、めちゃくちゃお得なのに…。
ちなみに手元にあるのはこれもまた何かと話題の新潮社版。在ロサンゼルスの邦人読書家のオアシスたるブックオフ・ガーデナ店で買った。いい本は新刊で買わないとな。反省。でもブックオフもなくなると困るんだ。。。