カリフォルニアの本と虫

ロサンゼルス生活の日記だったけど、今は大阪にいます。

ソウルフードの共通項

 ペンシルベニア州フィラデルフィアに行ってきた。合衆国建国の史跡が残る東部の古い街である。

 そこの名物「チーズステーキ」(Philly Cheesesteak)がこれ。↓

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 炒めた薄切り牛肉と玉ねぎをロールパンに挟んで、上から溶けたチーズをかけたもの。むちゃくちゃしょっぱくて、でかい。大人のげんこつ3つ分くらい。写真のものには一応ロブスターも入っているのだが、しょっぱさとチーズにまぎれて味がよく分からない。

 

 皆さんどう思いますでしょうか。

 

 おそらく日本にいた頃の私なら、そのシンプルさに呆れたと思う。あるいは嘲笑すらしたかもしれない。「太りそう・・・」とか「まずそう・・・」とか。*1

 しかし百聞は一見に如かず。食べてみた。

 まず、「太りそう」は否定できない。1,000kcalは余裕で超えそうだし、内臓や血管がぐええと呻いている感じがする。しかし、以外なことに、味の面ではフツウに食べられた。というか、ビールとワインで流し込むように食うとまあまあうまい。あれ?

 脂肪と塩分と炭水化物の波状攻撃。すごく疲れる味なのだが、なんだかこういうジャンルに馴染みがある気がして仕方がない。なんだこの懐かしさは…?しばらく考えてハタと思いたった。これ、「すた丼」じゃないか。

 「すた丼」とは山盛り飯にニンニク醤油で炒めた豚肉を乗せたもので、今「伝説のすた丼屋」として全国チェーン展開している店の看板メニューである。元々は北多摩地域の腹ペコ学生のために開発された一品であり、同地域で青春を過ごした人間のソウルフードとなっている。発祥の地で暴走族をやっていた宇梶剛士さんも昔から好きだという話がある。私も学生時代は毎週食っていた。(毎日食ってた同級生は軒並み激太りしていった)

 チーズステーキ、これに似ている。

 

豚肉の醤油炒め→牛肉のチーズ炒め

山盛り飯→ドデカロールパン

長ねぎ→玉ねぎ

 

という違いはあれど、健康を度外視した味と量のコンセプトはほぼ同じだ。愛されるわけである。

 思いがけず見つけた、アメリ東海岸と故郷との共通項。

*1:普通に食欲をそそられる方もいらっしゃるかもしれないが、主観の話なのでご容赦を。