カリフォルニアの本と虫

ロサンゼルス生活の日記だったけど、今は大阪にいます。

ご無沙汰です。生きてます。

ブログ放置してすみません。

1年半ほったらかしの間にいろいろありました。最後のエントリが2022年2月なんて、はるか昔のよう。その間のできごと。

・仕事やめました。

・大阪から京都に転居しました。京都の中でもさらに一回引っ越しあり。

・古本屋を開業すべく、古本屋のバイトしながらちょこちょこイベント出店してました。

アメリカに1回、タイに2回遊びに行きました。

・この秋には東京の地元に戻り、さらに古本屋としてステップアップしていくつもり。

 

このブログだけでなんとなく繋がっている方が、2,3人?おられるはずなので、別のプラットフォームの情報も貼っておきます。もし気が向いたら近況を覗きに来ていただけると嬉しいです。はてなはしばらく凍結状態が続きます。

 

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通信インフラを私企業が担うことのデメリットを一身に受ける毎日ですね。

分散化とアナログ化で対抗していきましょう。

 

地元の池

 

あと何年

ハマって見ている「海街チャチャチャ」というひどい邦題の韓国ドラマ。村の長老的なおばあさんが、ヒロインへの恋心を懸命に隠す青年に「人生長いようで短いぞ。自分に正直になれ」と諭していた。第10話。

 

先日から『日本の写真家101』という、日本に写真が入ってきた江戸末期から蜷川実花くらいまでの人物名鑑みたいな本を読んでいる。当然早逝した人もいっぱい出てくる。私は今34歳なんだけど、この年齢に届かなかった才人たち。

 

床屋で髪を切ってたら、隣の席の人、それほど年寄りにも見えなかったが、脳梗塞で運ばれた時の話と、大腸癌を切った話と、淡々と理容師さんに語っていた。

 

自分もいつまで生きるのか分からんなとニヒリズムの淵に引き寄せられながら帰宅する。積んであった守村大「まんが新白河原人ウーパ!」をパラパラめくっていたら、47歳で一念発起して山を買って自給自足の夢を追う話で、少し元気を持ち直す。しかし意気揚々と暮らしを打ち立てたと思ったら原発事故が起きて山じゅう放射能汚染されるのである。

 

大阪にいるとハッキリ言って福島は遠い。私の関心のことではなく、メディアの取り扱いという意味で。いっそロサンゼルスに住んでた時の方が、情報量や周りの感心など、まだ意識が近かったかもしれない。今関西ローカルのテレビでは関西電力の「原発二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギー」というCMが堂々と放送されていて、そのCMには阿部サダヲが出ている。なんだかひどく幻滅する。

 

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休日

 起きたら昼過ぎでびっくりした。30過ぎてから長く寝られなくなったので、こんなのは珍しい。よっぽど疲れていたか。

 

 わけあって、プロではない書き手による2,000字くらいの原稿を50ほどまとめて読んだ。全てある一つのお題に沿って書かれたものなのに、ひとつひとつきわめてバラバラな文章になっている。読みながら、固有の人格に結びついた固有の文体というものの存在を強く感じた。うなるほど腑に落ちるのもあれば、のどに引っかかってなかなか呑み込めないのもある。いろいろな人間に会うのが面白いのと同じように、いろいろな文体に触れるのは面白い。

 ちょっとおかしかったのは、うまい文章を読むときに、自分の中に嫉妬がよぎること。素直な賛嘆の気持ちの底で、弱いけどたしかな対抗心がくすぶっている。もっとうまくなりたい、うまく見せたい、という欲望はだいぶ大人しくなったと思っていたけど、煽られればすぐに燃え上がるものらしい。

 なんにも熱がないよりはいいかなあ。

 

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Joshua Tree

 

 写真のフォルダを見ていたら、ジョシュアツリー国立公園に行ったときのことを思い出した。駐在員が帰国すれば、その国のことは忘れていくというが、地平線からやってくる夕闇の中で黙ってぬっと立っている異形の植物たちの姿は今でも鮮明に覚えている。そこの空気の冷たさも。

二月九日

 午前中は仕事を休みにして、郵便局、皮膚科、コーヒー屋、スーパー、銀行、に行こうと思ったけどコーヒー屋は閉まっていて、銀行は寄るの忘れた。まあ用事が三つもこなせたなら上出来な方だ。

 私が住んでるのは泉南地域といって大阪南部の畑のいっぱいあるところで、こういう場所でそれなりの皮膚科、ちゃんとした薬を大容量処方してくれて、変な説教や嫌味も言わない、感じのいいお医者さんにかかれていることは大変ありがたいことだと思う。頭皮が荒れてて困ってますって言ったら、いつもの軟膏の他に頭に塗りやすいサラサラの液体薬も出してくれた。

 大学のときに実家を出てから二、三年おきに引っ越しを重ねるうちに、自分の住んでいる地域がどう成立しているのかについて、どんどん関心が強くなっている。昼間は地域にいない勤め人なので、なかなかコミュニティに食い込めないのが歯がゆいのだけど。それは自由、ということでもある。

 今日はせこせこ近所で用を済ませながら、このへんでの生活を医療や物流についてつらつら考えることができて、なんだか楽しかった。

 

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きのこ

 

二月八日

 ムカつくことがあったんだけど、カマシ・ワシントンを爆音で聴いてたらどうでもよくなった。希望の塊のような音楽だ。そういや最近音楽に逃げ込んで気を紛らわすということもしていなかった。加齢で感情の起伏が穏やかになったということで、若いとき心から望んでいた平安だが、やっぱりつまらないような気もする。怒りや悲しみがないとき、あんまり文章書く気にならんし、喜びに浮かれてるとき、あんまりブログを開く気はしない。そろそろ私的なこと、誰にでも見せられるわけでもなくなってきた。何の恥じらいか知らんけど。

 考えることをさらけ出せないことに歯がゆさ深々。溜め込みすぎると腐ってガスが出てそのうちヤケクソの暴発だと思うけど、そうなったらそれはそれで面白いんだろうなと自分の中の圧力上昇を日々観察しています。

 

 カラオケ行きてえ。

半纏買った話

 綿入れ半纏、又の名をドテラ。思い切って買ったら大変に温かい。良い買い物をした。

 遠く高3の受験シーズン、実家の勉強部屋は板の間で、底冷えした。どれだけ着込んでも足先が冷たくなってしょうがない。耐えかねて、足に新聞紙をガムテープでぐるぐる巻きにして防寒を図ったこともあった。歩くたびにシャワシャワと音がして情けないことこの上ない。思いついたときには大発明だと思った新聞紙ブーツは、足の湿気を含んでだんだん冷たくなることがすぐにわかるのだが、ともかく苦し紛れに新聞紙を巻くくらい、足の冷える10代男子を対象とした防寒具がなかった。

 10代ではなくなった後も、ずっと温かい部屋着の決定版を探してきたが、アトピー性皮膚炎で化繊の静電気がダメな私に、しっくりくる商品はなかなかない。裏起毛を選択肢から外すと、買える冬服って激減する。あと、そもそも全然服を買う金がなかった。冬になるたびユニクロのフリースやセーターを重ね着してごまかしていたが、快適とは程遠い。

 服ないなーと思いながら、「たぶん、綿入れ半纏がいいのでは?」とはうっすら思っていた。昭和のドラマでじいさんが羽織っているあの感じ。静電気もおきにくいし、綿を着るんだからさぞ温かろう。

 しかし、身近になかなか売ってない。たぶん驚安の殿堂には置いてるだろうが、気が進まない(好みの問題)。中綿にポリエステル入ってると結局静電気との戦いだし。どっかに素敵なドテラないかな、いっそ和裁を習わなあかんかな…と思い始めた頃だった。ようやく見つけた。

 仕事の都合でインスタフォローしてたLAの和雑貨の店が、えらいおしゃれな絣のドテラをアップしているではないか。ブランド名調べたら、日本でネット通販してるらしい。写真で分かるくらい手仕事の入った良い品だし、値段もそれを証明している。が、決して手の届かない額ではない。部屋着としてはアホみたいに高価だけど、20年来の「冬、寒い問題」を解決できるなら安いもんだ。さすがに学生のときより金あるし。ポチリ。

 届いた。最高。

 めっちゃポカポカするけど、前が開いてるから熱がこもって火照るまではいかない。重ね着しても軽くて締め付けないから、肩こりしない。藍染もあんまりじじむさすぎず、いい感じ。これ一生着れる。

 在宅ワークで寒さに困っている人、断固プッシュしたい。額面は安くないけど、修理しながら何年も使うなら、割の良い投資だと思う。興味があれば「宮田織物」で検索してみてください。または「おたふくわた」。すげえいい。

 満足に温かく過ごす冬は久しぶりだ。

週末日記 奥山雨山自然公園

 成人の日、天気がよいので布団から体を引き剥がしてハイキングに行った。

 もうお昼も過ぎてから、お茶とせんべいだけリュックに入れて、車で10分の自然公園へ。ここは泉南の沿海部から地面がグッとせり上がって山地が始まるところで、標高150mくらいのダム湖の周りに、2,3時間歩けるコースが何本か整備されている。おおむね自然林だけど、柿や桜が植わってたりで適度に人の手が入っており、親しみが持てる。昔は近郷の農民が雨乞いの場としていたそうで、雨山と呼ばれる小さなピークもある。

 林道脇に駐車して歩き始めると、地べたを這うツタのような草の中に、赤い果実が目につく。フユイチゴだ。冬に実をつけるベリー。きれいなのを1粒口に入れてみる。神経を集中するとかすかに香りと酸味が感じられるかなというくらいだけど、登りで汗をかいているときにはけっこう元気が出る。

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小動物の冬の食料なので、ほんの味見だけ

 

 少し登るとトイレが整備された広場に出る。春は桜がきれいだったっけと思い出していると、ピーピーという小さな声がする。半野生化したような傍らの柿の木に目をやると、やはりメジロだ。群れで盛んに柿の実をつついている。

 とくに珍しい鳥ではないのだけど、このきれいな緑色を目にするたびに、ちゃんと季節が巡っていることを知る。夏は茂みに隠れてほとんど見られないのだ。

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果物大好き

 

 短いコースなのですぐ尾根に出る。ちょっと驚いたことには、ぽつぽつとミツバツツジが咲いていた。日当たりがよいのでうっかり咲いちゃったという感じ。しかし日当たりがよいといっても、前の週は寒波で氷点下行ってたと思うんだが。不思議。

 ここの尾根道は急げばほんの数分で過ぎちゃうような短さながら、背の低いマツを主体にツツジやシダ類、灌木が茂り、土質は白く乾いていて、そこはかとなく南カリフォルニアを思い出すので好き。

 休日でも上の方にはあまり人が来ないので、晴れた日は本を持ってきて1時間でも2時間でも静かに過ごせて最高だ。あまり知られていないけど、南大阪の至宝スポットであると思う。

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本来は晩春から初夏の花

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あまり温かいのでしばらくTシャツ姿で日光浴

 

 日当たりの良い小ピークでぼんち揚をぼりぼりして瞑想していたら、だいぶ毒気が抜けた。成人の日はあんな式なんかやめて、こういうところで遠足すりゃいいのにとか適当なことを思いながら、ちゃちゃっと下り道へ。

 帰りはカラ類の混成軍に遭遇して、ヒヨドリコゲラも合わせてにぎやかなことこの上なかったけど、カラの中でもアイドル度の高いエナガに会えたのはちょっとうれしかった。わりと近くに来てくれたので、ピント合ってないけど望遠で写真を撮ることができた。

 あと、ジョウビタキのメス、通称「ジョビ子」も至近距離で観察することができた。こんな小さな体で大陸から渡ってくるんだからすごいよな。(あとで調べたら、日本国内での繁殖例も増えているらしい) 

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知性のある毛玉

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ジョビ子

 

 去年はほとんど山歩きをしなかったけど、今年はもうちょっとフットワーク軽くあちこち行ってみたい。