カリフォルニアの本と虫

ロサンゼルス生活の日記だったけど、今は大阪にいます。

半纏買った話

 綿入れ半纏、又の名をドテラ。思い切って買ったら大変に温かい。良い買い物をした。

 遠く高3の受験シーズン、実家の勉強部屋は板の間で、底冷えした。どれだけ着込んでも足先が冷たくなってしょうがない。耐えかねて、足に新聞紙をガムテープでぐるぐる巻きにして防寒を図ったこともあった。歩くたびにシャワシャワと音がして情けないことこの上ない。思いついたときには大発明だと思った新聞紙ブーツは、足の湿気を含んでだんだん冷たくなることがすぐにわかるのだが、ともかく苦し紛れに新聞紙を巻くくらい、足の冷える10代男子を対象とした防寒具がなかった。

 10代ではなくなった後も、ずっと温かい部屋着の決定版を探してきたが、アトピー性皮膚炎で化繊の静電気がダメな私に、しっくりくる商品はなかなかない。裏起毛を選択肢から外すと、買える冬服って激減する。あと、そもそも全然服を買う金がなかった。冬になるたびユニクロのフリースやセーターを重ね着してごまかしていたが、快適とは程遠い。

 服ないなーと思いながら、「たぶん、綿入れ半纏がいいのでは?」とはうっすら思っていた。昭和のドラマでじいさんが羽織っているあの感じ。静電気もおきにくいし、綿を着るんだからさぞ温かろう。

 しかし、身近になかなか売ってない。たぶん驚安の殿堂には置いてるだろうが、気が進まない(好みの問題)。中綿にポリエステル入ってると結局静電気との戦いだし。どっかに素敵なドテラないかな、いっそ和裁を習わなあかんかな…と思い始めた頃だった。ようやく見つけた。

 仕事の都合でインスタフォローしてたLAの和雑貨の店が、えらいおしゃれな絣のドテラをアップしているではないか。ブランド名調べたら、日本でネット通販してるらしい。写真で分かるくらい手仕事の入った良い品だし、値段もそれを証明している。が、決して手の届かない額ではない。部屋着としてはアホみたいに高価だけど、20年来の「冬、寒い問題」を解決できるなら安いもんだ。さすがに学生のときより金あるし。ポチリ。

 届いた。最高。

 めっちゃポカポカするけど、前が開いてるから熱がこもって火照るまではいかない。重ね着しても軽くて締め付けないから、肩こりしない。藍染もあんまりじじむさすぎず、いい感じ。これ一生着れる。

 在宅ワークで寒さに困っている人、断固プッシュしたい。額面は安くないけど、修理しながら何年も使うなら、割の良い投資だと思う。興味があれば「宮田織物」で検索してみてください。または「おたふくわた」。すげえいい。

 満足に温かく過ごす冬は久しぶりだ。