2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧
今年読んだものセレクション第二弾は、水村美苗『日本語が亡びるとき』。ここ数年ちょこちょこかじってきた文化論の中でも、いちばん心揺さぶられた。感情を動かされたのは小説家としての著者の腕によるかもしれないが、別にセンチメンタルな叙述に終始する…
今年はあまり本を読まなかったが、いくつか印象に残っているものはある。 まず柴崎文一『アメリカ自然思想の源流』。一時期は毎週のようにアメリカの自然に遊んでいた私にとって、そうそうまさに今それが知りたいのだというタイトルである。米国立公園の仕組…
最近の楽しみはアマゾンプライムでやっている「BANANA FISH」のアニメである。週に1話ずつアップされるのを、シャツにアイロンをかけながら観ている。とても原作を大切にしたつくりで、内容はだいたい覚えているのにハラハラドキドキさせられる。何よりアッ…
向田邦子の短編集を読んだ。表題の通り、トランプと同じ13編が収録されている。 向田邦子の作品を読むのは初めてだ。登場人物は皆ぬぐえない過去の暗い思い出や、後ろめたさを引きずりながら、どうにか生きている。あまり大きな事件は起きず、なんとなく昔あ…
少し前のこと。 仕事が終わってオフィスを出ると、男性二人組がこっちを見ていた。「お前日本人か」と呼び止められる。なんだなんだと内心で警戒スイッチをオンにしながら、そうだけどと答えると「日本に郵便を送りたいんだが、どこで切手を買えるか知ってる…
ロサンゼルス近郊の野山で遊ぶようになって分かったのは、乾燥地には乾燥地なりの命の輝きがあるということだ。 日本語の世界では「緑が多い」というフレーズには自然が豊かだというニュアンスが付与されており、その対極に「死の砂漠」といった表現がある。…