カリフォルニアの本と虫

ロサンゼルス駐在の日記です。2017年10月から

夕焼けと椰子の木

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 今日は夕焼けをゆっくり眺める時間があった。ここの人々にとっては、椰子の木の向こうに沈む夕陽が、いわゆる原風景になっているようだ。街の西側が全部太平洋で、高い建物もほとんどないので、沈む夕陽のオレンジは人々の視界をまっすぐオレンジに染める。椰子の木は街中に植わっているので、夕陽はたいてい椰子の木越しに見えるということになる。

 夕陽と椰子という組み合わせは南国情緒としてすごく確立されていて、イギリスの会社がそのイメージを引っぱってマリブという酒のパッケージを作ったくらいである。ここに来るまで考えたこともなかったけど、マリブというのもロサンゼルスの西隣の海岸町の名前だし、白いビンに書かれた例のオレンジの絵は上の写真のような景色を図像化したものだということがよく分かる。

 かように南カリフォルニアの象徴のようになっている椰子だけど、じつは全て外から持ってきて植えたもので、気候が合わないので放っておくとじゃんじゃん枯れるという話が面白い。水やりのコストに耐えきれないので、ロサンゼルス市の当局はもう枯れた椰子を植え直すのはやめるそうだ。今後20〜30年で椰子の景色がガラッとなくなるかもしれない。夕陽はそのままだろうけど、添え物が何になるのか、ここの人々は自腹切って椰子の木を死守するのかもしれないが、景色がどんな風に変わっていくのか考えると面白い。見えているものが変われば、それに合わせて人の心もずいぶん変わるはずである。