カリフォルニアの本と虫

ロサンゼルス駐在の日記です。2017年10月から

サンフランシスコ散歩(ミッション地区)

 出張でサンフランシスコに行った。スキマ時間でミッション地区を少しだけ歩いてきた。ミッション地区はもともと所得の低いヒスパニック系が集住していたところだ。地価の安かったところに、近年シリコンバレーのIT長者向けのオシャレスポットがぼこぼこできている。流行の発信地として注目される一方、ジェントリフィケーションが激しく進行した場所でもある。前に来たときにその中心部のにぎやかさは見物したので、今回は少し外れたところに行ってみた。

 向かったのはAlley Cat Books & Gallery。以前本屋巡りをしたときにリストアップしていたが、ルートを組めなくて寄れなかった書店だ。

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「路地の猫書店」

 開発から生き残った昔ながらのメキシカンな通りに、素敵な存在感を漂わせている。入り口に垂れ下がったレインボーのリボンをくぐると、右手にスペイン語書籍の棚があり、左手には大きなフィクションとアート本の棚が並んでいる。詩やフェミニズム、マイノリティの権利などについての本を重点的に揃えながら、ポップさも失わない品揃えになっている。

 意外に奥行きのある店内には所狭しと中米のアートが飾ってあるが、最奥部はその中でも特にギャラリースペースになっていて、原色の骸骨モチーフの絵がたくさんかけてある。詩の朗読なんかもここでやるらしい。

 ヒスパニックのことはよく分からず食指が動かなかったので、SFのコーナーにあったル・グウィンのインタビュー集を買った。天井が高くカラッとして良い本屋だった。荷物に余裕のあるときにまた足を運びたい。

 店を出るとお腹がすいていた。グーグルマップを見るとタコス屋だらけである。タコスはそんなに食べたくなかったので、アジア飯屋を探したが、ある店の前で足が止まった。

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あまりにいいにおいがするので

 メキシコ飯はやめようと思っていたのでいっぺん通り過ぎかけたが、私の鼻が戻れ戻れと訴えるので振り返るといかにも雰囲気が良い。地元の人がリラックスして昼飯を食っている。せっかくミッション地区に来たのにパッタイや寿司を食うのもな、と思い直して入ってみた。

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大正解

 適当に肉のサンドイッチを頼んでみたら、これが実に美味しい。作りたてでジューシー、味付けは控えめでぜんぜんパサパサしないし、ぺろりと平らげてしまった。小さいサイズが選べるのもありがたい。(小さくなかったけど)

 満足してこの食堂を出て、何気ないパン屋でアイスコーヒーを買ったらこれもとても美味しい。飲んだあとで気づいたのだが、途中で薄くならないように、コーヒーを凍らせた氷が入っている。安いのにこんな細かい気配りのある飲み物はアメリカで飲んだことがない。ちょっと感動してしまった。中東系と思われる親子が店を回していたけど、忙しそうなのに対応は親切でとても感じが良かった。

 滞在時間は1時間ちょっとだけだったけど、目当ての本屋以外にもいくつか発見があった。ミッション地区の目抜き通りから外れるので観光客はほとんどいないが、公共交通機関と歩きで成り立っていることからくる独特の親しみやすさがある。ロサンゼルスは車社会すぎて、歩きながら面白いものを探す、という楽しみ方がほとんどできない。それもあって、久しぶりに足を使えてわくわくした。